LAST TRAIN
LAST TRAIN / HOLY SOLDIER (1992)
1984年に日本初のヘヴィ・メタル専門誌が創刊され、そのレコード・レビュー輸入盤アルバム欄にSTRYPERの「The Yellow And Black Attack」が紹介されていました。(創刊号の表紙を飾った方は、オジーとジェイクでした!) 今ではクリスチャン・メタルのパイオニアと言っても過言ではないSTRYPERの存在を初めて知り、ライブで聖書を観客に投げるパフォーマンスに、滑稽なバンドだなと、その時はスルーしていました。
翌年発表された、初のフル・レンス・アルバム「ソルジャー・アンダー・コマンド」に収録されていた曲を、とある番組で紹介されたのを聴いた私は、その美しいメロディとヴォーカル・ハーモニーに魅了され、これはとんでもない勘違いをしていたと、一目散で (。Д゚; 三 ;゚Д゚) 貸レコード屋さんに飛んでいったことを今でも覚えています。
さて、今回ご紹介させていただくバンドは、そのSTRYPERの弟バンドなどと言われていたHOLY SODIERの2ndアルバムになります。
1985年にバンドを結成し、地元でライブの経験を積み上げ、LAで徐々に頭角を現していきます。それから5年の歳月が経ち、満を持して、1990年にようやくフル・レンス・アルバムのデビューを勝ち取ります。とは言え、そうこうしているうちにクリスチャン・メタルの勢いには陰りが見え始めます。大御所STRYPERをはじめ、様々なクリスチャン・メタル・バンドがイメージチェンジを余儀なくされていく音楽市場での発表となりましたが、1stアルバムは本国アメリカで高い評価を受けます。 "ストレンジャー" をはじめとする計6曲がシングル・カットされ、ラジオ・チャートを賑わすことになります。
楽曲の良さと安定した演奏、何よりもスティーブン・パトリック(Vo)の素晴らしい歌唱は、ロックとクリスチャンといったある意味相反するものを、無理に融合させることはなく、バンドの質、アルバムの質、楽曲の良さで十分に勝負できることを証明して見せたとも言えます。私も訳詞を読まなければ、英語は殆どわかりませんし。
しかし、いい滑り出しができ、さあこれから!という時に、厳しいロードと家庭との板挟みに疲弊したスティーブンが1990年10月にバンドを脱退してしまいます。どうにかこうにか後任のヴォーカリストを迎えて、全米ツアー等を敢行しますが、ほどなくして新ヴォーカリストとギタリストがバンドを離れてしまいます。大きなダメージを受けながらも、レコード会社のサポートもあって、3ピースで本2ndアルバムのリハーサルや曲作りをはじめ、1991年2月に新ギタリストとしてスコット・ソダ―ストロムを迎え入れることができます。
あとはヴォーカリスト...メンバー達は、スティーブンの脱退には実は納得をしておらず、何よりもHOLY SODIERは彼の声以外はあり得ないと、ずっと考えていたそうです。メンバー達は、LAからメンフィスに住むスティーブンに会いに行き、バンドへの復帰を要請しました。スティーブンは彼らのあまりにも熱い想いに心を動かされ、復帰を了承してくれました。ホント良かった! ようやくベストラインナップが揃ったところで、1991年5月より、1stと同様にデヴィット・ザフィーロをプロデューサーに迎え、シアトルとLAでレコーディングを行ない、完成したのが本作「ラスト・トレイン」となります。
彼らの楽曲の良さは変わりなく、親しみやすいセンスに溢れたキャッチ―なメロディ・ラインは、1stより更に磨きがかかっています。哀愁や憂いを帯びたマイナー調の楽曲は、私の琴線に触れまくり、やっぱりこのバンドはスティーブンの声だなとしみじみ思った次第です。
因みに、プロデューサーのデヴィット・ザフィーロは同じくクリスチャン・メタル・バンドだった元BLOODGOODのギタリストです。あえてここではクリスチャン・メタル・バンドと表現していますが、そのカテゴリーに括られていた素晴らしいバンドやアーティストが沢山います。また改めてご紹介できればと。
●Tracks
01. VIRTUE & VICE
02. CRAZY
03. HALLOW'S EVE
04. GIMME SHELTER
05. LOVE IS ON THE WAY
06. DEAD END DRIVE
07. TUESDAY MOURNING
08. FAIRWEATHER FRIEND
09. LAST TRAIN
●Personnel
STEVEN PATRICK - Vocals
JAMIE CRAMER - Guitars
SCOTT SODERSTROM - Guitars
ANDY ROBBINS - Bass
TERRY RUSSELL - Drums
Producer - David Zaffiro