THE CAGE
THE CAGE / TYGERS OF PAN TANG(1982)
今回ご紹介させていただくバンドのアルバムは、TYGERS OF PAN TANGの4thアルバム「邦題:危険なパラダイス / THE CAGE」となります。
当時、私には洋楽仲間的な友人が何名かいました。その中のひとりに兄がいる友人S君という方がおりまして、その兄が所有されるレコード、オーディオ機器、音楽雑誌のバックナンバーなどなど、すべてにおいて羨ましい限りのそのご家庭は、私においてラジオと並んで貴重な情報源のひとつでした。
因みに友人S君は、「おまえ、そんなのも知らないのか」といった知ったかぶり男で、少々苦手なタイプではありましたが、下手に出て優越感に浸り悦に入られたところで、持参したカセットテープに色々と録音していただけるメリットはかなり大きな収穫でした。
ある日また「これ知ってるか?」と聴かせてくれたのが、THE SEARCHERSもカバーしていたT.O.Pの "LOVE POTION NO.9" (確かシングル・レコードだったかと思います)。
友人S君がN.W.O.B.H.M.とは云々と兄受け売りのウンチクを語っている横で、私は鳥肌立ちまくりで聴き入ってしまい、バンド名、曲名、ギターはJohn Sykesとだけ憶えて帰宅し、お小遣いをかき集めて、 "LOVE POTION NO.9" が収録されている本アルバムを購入したわけです。これが私のT.O.Pデビューでした。
"LOVE POTION NO.9"
→https://youtu.be/oFJ3lxLdvs4
ところが、本作はRPMのカバー "Rendezvous" や外部ライターの大幅導入によるポップかつメロディアスなサウンドへ大胆な路線変更が図られており、友人S君のウンチクから描いていたイメージは、いい意味で打ち砕かれてしまいました。ただ残念だったのは、アルバム制作直前に、John SykesがOzzy Osbourneのオーディションを受けるために脱退し、堪能したかったJohn Sykesのギターは本作には2曲のみの収録だったことでした(皆様ご存知の通り、結局彼はTHIN LIZZYに加入します)。前々からギタリスト候補?としてJohn Sykes以前に名が挙げられていたFred Purserを迎え、プロデューサーにはRUSHとの仕事で名高いPeter Collinsを抜擢しています。
少し遅れてDEF LEPPARDの3rdアルバム「炎のターゲット」が大ブレイクしますが、レコード会社のプッシュ、アメリカの市場を意識したミックス・ダウンなどが施されていたりしたら、本作によりT.O.Pが全米で先に旋風を巻き起こしていたかも...と思うのは私だけでしょうか。
やはり2nd「SPELLBOUND」のメタリックなカッコ良さを求めていた多くのファンが離れていってしまったのが大きかったのか、バンドは解散状態となり、Jon Deverillが中心となって同路線で1985年に復活を果たしていますが、あまり話題にもなりませんでした。
やっぱり此方の方が人気高いかな
この後にリリースされた「THE WRECK-AGE」(1985年)、「BURNING IN THE SHADE」(1987年)は私おすすめのメロディアス・ハード・ロックアルバムです。また改めてご紹介できればと。
●Tracks
01.Rendezvous
02.Lonely At The Top
03.Letter From L.A.
04.Paris By Air
05.Tides
06.Making Tracks
07.The Cage
08.Love Potion No.9
09.You Always See What You Want
10.Danger In Paradise
11.The Actor
●Personnel
Jon Deverill - Vocals
Rob Weir - Guitar
Richard"Rocky"Laws - bass
Fred Purser - Guitar、Keyboad
Brian Dick - Drums
John Sykes - Guitar on 3、10
Producer - Peter Collins