『私的・温故知新録40』SURREALISTIC PILLOW
SURREALISTIC PILLOW / JEFFERSON AIRPLANE(1967)
今回ご紹介させていただくバンドのアルバムは、JEFFERSON AIRPLANE2枚目のアルバム「SURREALISTIC PILLOW」となります。
唐突ではありますが、皆さんは、日本では1987年に劇場公開された映画『プラトーン』はご覧になったことがありますでしょうか。
『ディア・ハンター(1979)』、『地獄の黙示録(1980)』に次いで、ベトナム戦争を描いた映画と言えばこの映画ではないかと。私的には真っ先に頭に浮かぶのが、このOliver Stone監督の代表作なんです
"『プラトーン』日本版劇場予告編"
→https://youtu.be/loylE02tzZQ
1967年、大学を中退した正義感溢れる若者クリス(Charlie Sheen)が、志願兵としてベトナム戦争に従軍するところから映画は始まります。それは少数民族や貧しい者たちからの徴兵に憤ったクリスが選んだ道ではありましたが、配属されたのは最前線の小隊プラトーン。そこで彼を待ち受けていたのは、「常識」なんて言葉は全く通用しない戦争の悲惨な現実...やがてクリスは戦場で、想像を遥かに超えた人間の狂気を目の当たりにすることになります。
この映画の名シーンと言えば、やはりエリアス軍曹(Willem Dafoe)が両手を挙げて天を仰ぐところではないかと。冒頭の画像もそうですが、映画のポスターにも使われていましたので、一度は目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。冷酷非情な鬼軍曹バーンズ(Tom Berenger)と、無益な殺生に反対するエリアス軍曹との対立の結末と言いますか、彼の凄惨な最期は、絶望的で、何とも痛ましく胸が締め付けられるシーンでした。
"Platoon • White Rabbit • Jefferson Airplane"
→https://youtu.be/jJgOjPNbAMA
そして、凄まじい戦闘のあと、どうにかこうにかクリスとバーンズ軍曹はお互いに生き残ることができましたが...
結局、自分も憎しみを断ち切ることができない人殺しと同じなのではないか? とクリスは泣きながら、自問自答的なシーンで映画は終わります。戦争は、勝っても負けても結果なんてものには何の意味もなく(実際にはあるにせよ)、ただただ深い悲しみと心に傷が残るのみであると、Oliver Stone監督は、クリスを通して、我々に真実を伝えてくれています。
"なんてね♪"
さて、卯年に因んだ(あえて言う)第2弾は、JEFFERSON AIRPLANEとなる訳ですが、彼らはMarty BalinとPaul Kantnerを中心に、1966年に結成されたアメリカのバンドです。と言うよりも、その後、 JEFFERSON STARSHIP に改名し、 STARSHIP に分裂するバンドと言った方が早いかもしれませんね (*'ω'*)
GREAT SCIETYというバンドからGrace Slickを引き抜いて本作を制作する訳ですが、彼女は手土産として前バンド時代の楽曲を2曲持ち込んできます。
"SOMEBODY TO LOVE"
→https://youtu.be/swJoHwqA-7k
60年代後半は、アメリカはウエストコーストを端に発したサイケデリック・ロックが世界中を席巻していて、「SURREALISTIC PILLOW」も THE BEATLES の「REVOLVER(1966)」や「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND(1967)」といった名盤と共に、サイケデリックなアルバムと評されていました (^^♪
"WHITE RABBIT"
→https://youtu.be/WANNqr-vcx0
特に、この "WHITE RABBIT" はサイケデリック・ロックの典型とも言われており、白兎を追いかけて穴に落ちる『不思議の国のアリス』をモチーフとしたもので、"WHITE RABBIT" は麻薬の隠語だとか...モロにサイケデリック (^^;
映画『プラトーン』でも、束の間の休息の中、兵士たちがラリパッパのシーンで "WHITE RABBIT" が使われていますが、サイケ感満載の中に、非常にスリリングなメロディが何とも印象に残る楽曲です。
既にJEFFERSON STARSHIPまでは聴いていましたが、映画に感動して更に60年代のJEFFERSON AIRPLANEまで遡りました。大好きなTHE BEATLESを隈なく聴き込んでいたお陰で、この辺りの音楽はすんなり入ってはきましたが、如何せん私的には飽きてしまう楽曲が多く、アルバム1枚を通して聴くのは少々キツイかなと。あくまでも、私的にですが (;^_^A
最後はオマケ。日本では1999年に劇場公開された映画『マトリックス』のワンシーン。 "白兎のあとをついていけ" というメッセージを受け取った主人公ネオ(Keanu Reeves)の部屋に、突然(必然?)訪ねてきたラリパッパの集団。でも、その連れの女の肩には白兎の刺青が…。これまた白兎を追いかけて穴に落ちる『不思議の国のアリス 』とネオを重ねた非常に象徴的なシーン。
"The Matrix White Rabbit Scene HD"
→https://youtu.be/6IDT3MpSCKI
映画『マトリックス』関連ネタは、また改めてご紹介できればと...本題は (;^ω^)
●Tracks
01.SHE HAS FUNNY CARS
02.SOMEBODY TO LOVE
03.MY BEST FRIEND
04.TODAY
05.COMIN' BACK TO ME
06.3/5 OF A MILE IN 10 SECONDS
07.D.C.B.A.–25
08.HOW DO YOU FEEL
09.EMBRYONIC JOURNEY
10.WHITE RABBIT
11.PLASTIC FANTASTIC LOVER
Bonus Tracks
12.IN THE MORNING
13."J.P.P. McSTEP B. BLUES
14.GO TO HER
15.COME BACK BABY
16.SOMEBODY TO LOVE (mono single version)
17.WHITE RABBIT (mono single version)
●Personnel
Marty Balin – Vocals, Guitar
Jack Casady – Bass, Fuzz Bass, Rhythm Guitar
Spencer Dryden – Drums, Percussion
Paul Kantner – Rhythm Guitar, Vocals
Jorma Kaukonen – Lead Guitar, Lead Vocals on 09, 12, 15
Grace Slick – Vocals, Piano, Organ, Recorder
Producer - Rick Jarrard